経験から学びに変える[経験値教育]

教員インタビュー

#09

人間健康学部 食物栄養学科松本 範子教授

アスリートを支える
「スポーツ栄養」、
園田の現場で実践してみませんか

高いパフォーマンスを目指すアスリートを、食の面からサポートする「スポーツ栄養」が注目されています。仕事にしたいという学生も増えているようです。園田学園女子大学には、スポーツ栄養を実践する授業があるといいます。どのような体験ができるのでしょう。松本範子教授に伺いました。
「スポーツ栄養」が注目されているそうですが、そもそもスポーツ栄養とはどのようなものなのか、教えていただけますか。

基本的には人が消費するエネルギーと栄養摂取の関係について考える学問ですが、なかでもアスリートは、一般的な生活をしている人たちと比べると留意すべき点がいろいろあります。最も留意すべき点は摂取エネルギー量でしょう。例えば成人男子アスリートが必要な1日のエネルギー量は、一般の人の倍近い3000~5000kcalです。カツ丼なら3~5杯分といったところでしょうか。

そんなに摂る必要があるのですか?

運動量が違いますから。これが中・高生ですと、さらに成長のためのエネルギーも要ります。不足すると成長のためのエネルギーが賄えなくなり、成長期なのにからだが大きくならないといった状況が起きてしまいます。

またエネルギーは、健康を維持するためにも必要です。かつて寮生活を送る高校の運動部員を見てきましたが、インフルエンザにかかりやすい子、怪我が多い子、貧血になりやすい子はだいたいが栄養不足、食事量の少ない子でした。

もちろんエネルギー量さえクリアすればよいというものではありません。そのアスリートは男子高校生なのか20代の女性なのか、スポーツの種目は何か。そうしたことに配慮し、必要な栄養を含んだ食べやすい食事を考えて、アスリートの望むからだづくりとパフォーマンスを支えていく。それがアスリートに対するスポーツ栄養の目指すところです。

幅広い人々を対象にするわけですね。

そうですね。一口にスポーツ栄養と言っても、対象は競技スポーツから生涯スポーツまで、小・中学生もいればシニアもいます。そうした人たちの指導もスポーツ栄養の守備範囲です。運動する人がいろいろな年齢層に広がっていけば、それだけスポーツ栄養に期待する人たちも増えていくのではないでしょうか。

授業についてお尋ねしたいのですが、松本教授の授業には実習があると伺いました。

はい。これは園田学園女子大学という環境のおかげでしょうね。園田には陸上競技部やテニス部、ソフトボール部など強いクラブが多く、日々、高いパフォーマンス、そして優勝を目指して練習しています。そうしたクラブに協力してもらい、アスリートの身体計測や食事調査などを行っているのです。

特にソフトボール部にはいろいろと協力してもらっています。冬合宿には一緒に行き、学生が考えた献立を宿舎のホテルで調理して食べてもらっていますし、全日本大学女子選手権大会(インカレ)の前の夏練習では「バテないからだづくり」をテーマに昼食の献立を考えてお弁当を提供したりもしています。

座学だけではなく、実践の場で経験を積めるところが園田のスポーツ栄養の強みです。

園田には、スポーツ栄養の実践を学びたい学生と、高いパフォーマンスを目指すアスリートの双方にメリットのある素晴らしい関係があるのですね。ところで園田の学生食堂に「アスリートランチ」というのがありました。オープンキャンパスの日に提供されるそうですが、あれも学生さんが考えるのですか。

そうです。狙いは、アスリート向けの食事とはどんなものか、来校した高校生に実際に見たり味わったりしてもらうためですが、同時に献立を考えることは学生の勉強になりますので授業の一環としてやっています。

アスリートランチ

オープンキャンパスで提供される「アスリートランチ」
女子高校生アスリートを意識してエネルギーとカルシウムがしっかり摂れるメニューにした

これも高校生アスリートと学生さんの、双方にメリットのある実践授業というわけですね。主菜はとり天の中華あんかけ、副菜は・・・えっ、切り干し大根でナポリタンですか? 初めて見ました。

「切り干し大根にこんな調理方法があったのね」と調理を担当された大学生協の方もびっくりされていました。カルシウムがたっぷり摂れて、同時に食欲もアップしそうでしょ。

スポーツ栄養の授業について、学生さんからの評価はいかがですか。

受講希望者は増えていますし満足度も高いと思います。ただ、授業が3年後期からという点について、新入生や下級生から不満の声が出ていました。スポーツ栄養を学ぶには、基礎となる栄養学をしっかり学んだうえで臨んでもらいたい。そのためどうしてもこの時期から始めることになるのですが、一方でもっと早くから実践の場に接したいという声が出ていたのです。そこで「スポーツ栄養サポート」というサークルを作りました。

サークルですか。

はい。サークルですから1年生も入れます。上級生の指導の下、アスリートの身体計測や食事調査などいろいろな活動をしています。人数も増えて2019年からはクラブに昇格しました。

スポーツ栄養の実践に触れたいという学生さんの熱意にも驚きましたが、それにサークルやクラブという形で応える園田の柔軟さにも驚きました。ところでスポーツ栄養を学んだ学生さんは卒業後、どのような活動をされていますか。

関西圏の高校とはつながりがあって、かつては野球部の寮で園田の卒業生が栄養管理をしていましたし、柔道部は今も園田の卒業生が見ています。先輩たちが信頼関係を作り上げてくれたおかげで、園田の学生が代々、後を引き継いでいるようです。なかにはかつて全国大会1回戦負けをしていたチームが徐々に強くなり、全国高校総合体育大会(インターハイ)団体戦で優勝を果たしたことがありました。また、全国大会への出場権を得たチームもありました。サポートする側の喜びもひとしおだったようです。

スポーツ栄養を学びたい学生からすれば、体験や経験を重視する園田の環境があって、先輩たちが築き上げてきたアスリートたちとのつながりがある。そうした環境で夢に向かえることは、学生にとって充実した大学生活になることでしょうね。今日はすてきなお話しをありがとうございました。
人間健康学部 食物栄養学科松本 範子教授
「栄養教育論では、講義や実習を通じて、ライフスタイル・ライフステージ別の人々応じた健康行動につながる支援ができるよう管理栄養士に必要な栄養教育方法や技術を学びます。また、スポーツ栄養では、アスリートの栄養サポートを知識だけでなく、実際のスポーツ場面に活かせる授業を展開しています。ぜひ、実践的なSONODAの学びを身につけましょう」