教員インタビュー
人間健康学部 総合健康学科荒木 香織教授
運動心理学は
役立つ実践ワザがいっぱい
よく言われます。メンタルコーチの印象が強いのでしょうね。でもスポーツ心理学を米国で勉強して修士課程と博士課程を修了してきましたから、ちゃんと研究はしていますし、授業も持っています。例えば「運動心理学」の授業は60人ほどの学生が受講しています。
スポーツにおける人々の心理について科学的に解明していきます。学問なので理論を教えることにはなるのですが、それだけだと退屈な授業になってしまいます。ですから学生が普段の生活やクラブ活動、就職活動といったところで、すぐにでも使えるよう工夫はしているんですよ。
では「ストレス」の授業を例にしましょうか。まずストレスの定義を説明します。学問的にはストレスを引き起こす刺激や、それをどう受け取ったか、どう反応したか、そしてどう対処すべきかといった事柄を分析していくのですが、その説明だけして授業の前半は終わり。後半は、身近に感じてもらうために、学生に自分のストレスを書いてもらいます。
学生Aさんが書いたカードがここにあります。おもしろいですよ。ストレスのもとは「抜けた自分の髪の毛が家のフローリングに落ちていること」。反応は「気分が落ち込んでため息が出てくる」。結局どうすればいいかというと「いやいや掃除する」。
学生Bさんのカードはこんな感じです。ストレスのもとは「毎日の満員電車が暑いし臭い」、反応は「いらいらする」。採るべき行動は「目的の駅に着くのを待つ」。
実はストレスへの対処方法には、問題に働きかけていくケースと、自分の心に働きかけるケースがあるのです。Aさんの「抜け毛」は問題に働きかけるケース、Bさんの「満員電車」は自分の心に働きかけるケース。日常の経験を出し合うことで、こうした対処方法の違いを身近なこととして理解してもらえるのです。

総合健康学科 荒木 香織 教授
ええ、それが狙いです。理論をどれだけかみ砕いて伝えることができるかです。ある日、別のテーマで授業をした後に、学生から「来週、試合があるので、今日、授業で習ったことを実践してみます」と言われました。私としては嬉しいですね。
私の授業を受ける学生は将来、体育の先生やインストラクターなど、指導する立場、情報を提供する立場になる人たちです。ですから理論をかみ砕いて、実践に使えるものとして身につけてほしいのです。もちろん学生・選手のときに発揮されることもあるでしょう。それだけではなくて、社会に出て誰かと一緒に仕事をするとき、あるいは指導をするときにも使えるものだと思います。
ソフトボール部にプログラムを提供しています。

いろいろありますよ。例えばけがをしてソフトボールをやめようか悩んでいる選手がいました。ここのチームは2017年の全日本大学女子選手権大会(インカレ)で準優勝、その前は優勝しています。勝つことができるチームだという意識もあって、勝つためには試合に出ないと意味がないと思っている選手が多い。その選手もそうした感覚を持っていました。それでレギュラーになれないならやめようかと。
ですが、レギュラーとして出られる人も出られない人もそれぞれの立場で力を発揮する経験はできます。園田学園女子大学チームとして優勝できればいい。そんな話をしたところその選手はチームを強くするために前向きに取り組むようになりました。この話は以前に対談記事にしていただいたので、そちらに詳しい内容が出ていると思います(健康スポーツコース スペシャルコンテンツ「Student × Professor」)。
廣瀬俊朗選手ですね。
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