教員インタビュー
人間教育学部 児童教育学科堀田 博史教授
対話型ロボット活用のアイデア、
いろいろ出てきます
いいえ、学生です。私の授業ではタブレット端末に限らず、新しいテクノロジーを活用するアイデアを学生たちからいろいろ出してもらっています。
例えば「ロボホン」(※1)という、身振り手振りを交えて対話するロボットの活用法を考える授業のときも、学生は実に興味深い提案をしてくれました。
※1 RoBoHoN(シャープ製)

対話型ロボット「ロボホン」のプログラミング風景
まず「患者さんのいる病室に置いてはどうか」というアイデアが出ました。人は会話をすることで癒やされるというところからの発想ですが、これはまあ、割と多くの人が考えつくアイデアかもしれません。ですがその後、議論が進んで「病室にいる患者さんのつぶやきを録音してはどうか」というアイデアが出てきたのです。
患者さんからすれば、小さな痛みや異変はお医者さんには言いにくい。看護師さんにも面と向かっては話しにくい。でも、相手がロボットなら気楽に話せます。そのつぶやきを看護師さんたちが聞けば、常に接していなくても患者さんの様子をきめ細かく知ることができるというのです。
なるべく学科ごとのグループになって議論してもらっています。一人きりで考え込んでいてもなかなか良いアイデアは浮かんできませんからね。
看護の学生グループなら「看護の現場で、今、何が問題になっているのか」、児童教育の学生グループなら「教育の現場で、今、何が問題になっているのか」をまず話し合います。人によって見方が異なるのでさまざまな問題が挙がります。
次に、新しいテクノロジーがそれら問題にどう生かせるかというアイデアを出し合います。一つのアイデアから次のアイデアが生まれる連鎖反応もよく起こります。「患者さんのつぶやきを録音する」という前述のアイデアは看護のグループから出てきたものです。
食物栄養学科のグループが提案したのは、一人で留守番をする子ども向けのプログラムでした。その日の料理をあらかじめロボホンに覚えさせておくのです。子どもが「今日のごはんは何?」と呼びかけると「これこれだよ」と答えて料理の温め時間や簡単な調理方法をしゃべってくれる。そして、ロボホンのおでこにあるプロジェクターから出来上がりのイメージ写真を投影してくれます。
本当は作って並べてくれるところまでロボットがやってくれるといいのですが、そこまではいっていません。それでも一人で食事の用意をする子どもへの元気づけにはなりますよね。
別の授業なのですが、授業のスライドを掲示していつでも見られるようにしています。学生はここに意見を書き込むことができます。いいアイデアも多く寄せられますよ。書き込まれたアイデアは多くの学生が共有しますし、いいアイデアには★マークが付けられます。「いいね!」の代わりです。マークの数が多いからといって良い成績が付くわけではありませんが、多くの★マークが付くとアイデアを出した学生には励みになるようです。
それがこの授業の最大の狙いです。情報に関するテクノロジーを使えば、大げさに言えば世の中を良く変えることができる。一度でもその可能性を体験すると発想は広がります。大切なのは、単にテクノロジーのすごさを体験するだけではなく、テクノロジーを使った社会の変え方を体験することです。

堀田教授の授業の様子
スマホを大学の正門あたりでかざすと大学案内ビデオが表示され、食堂でカレーライスのサンプルにかざすとカレーのレシピ情報が表示される。そんな体験もしています。
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