教員インタビュー
短期大学部 幼児教育学科中村 泰介准教授
「子どもからこんなふうに見られているよ」と
ビデオで教えます
はい。幼稚園、保育所、施設で、合わせてほぼ10週間の実習があります。特に幼稚園は4週間連続の実習を体験してもらっています。
2週間ずつ2回に分ける大学もあります。ですが2週間で終了すると、現場に慣れたころに終わってしまうケースが多い。これはもったいないと私たちの学科では、敢えて連続した実習にしています。学生さんにとってはきつい面もありますが、やはり実り多い実習になるようで、自信を深めて帰ってきます。
経験値教育という意味ではこの10週間の実習が中心的な役割になります。ですが単に実習に行けばいいということではなく、子どもたちの前に立つ準備や、戻ってからの整理などが必要です。そうした準備や整理をきちんとやることで、実習が充実したものになり、その経験が知識として身につくことになるのだと思います。
これは日々の授業のなかでも伝えていることです。
例えば、体育の時間に、子どもたち向けの模擬体育の授業をしてもらったことがあります。その様子をボイスレコーダーで録音しました。
確認してもらいたかったことは伝わる声かどうかです。「あっ、声が小さい」「早くて聞き取れない」。反省点が次々と出てきました。「言葉が伝わっているかどうか、先生なら気を配らないといけないね」「もし声が小さいと思ったら、カラオケで自分が張れるキー(音程)がどのキーなのか思い起こすのも一つの方法だよ」と伝えました。
また、子どもたちに見てもらうことを想定して、学生さんたちに知育玩具を使った演奏をしてもらったことがあります。その様子をビデオで撮って実習に行く前に見てもらいました。確認してもらいたかったことは、人前に立ったときに自分はどう見えているのかということです。
ビデオを見ると演奏を始める前のあるタイミングで姿勢が変わりました。多分、そこで「見られている」「私は先生」というモードに入るのでしょうね。ですが子どもたちはもっと前から見ている。不審に思う子も出てくるでしょう。「先生はいつでも見られている」。そう意識してくださいと伝えました。
そのほか準備に不安を感じる学生さんのために「実習支援室」という場所があります。保育経験のあるスタッフが、さまざまな不安や相談に乗ってくれています。

幼児教育学科 中村 泰介 准教授

そうなんです。これは「子どもたちにどうやって自転車の乗り方を教えるのが正解なのか分からない」という学生さんたちの声に応えたものです。乗れるようになってしまうと、乗れなかったころのことが分からなくなりますよね。なにが重要で、どう練習することが安全で早道なのか。それが分からないと自信をもって教えられないというのです。
たまたまある研究会に競輪選手が来ていることを知りまして、お願いしたところ来ていただけることになりました。
教えていただいたのは、そもそも自転車に乗れるというのはどういうメカニズムなのか、バランス感覚を獲得する良い方法はあるのか、といったことです。
そしてこのとき、子どもがバランス感覚を獲得しやすい方法として、補助輪もペダルもない自転車を実際に持ってきて見せてくれました。地面を足で蹴って進む、いわゆるキックバイクです。その実際の方法を見て、「なるほど、自転車に乗る感覚を獲得するには補助輪なしが適しているのか」と納得したのです。
驚いた人が多かったですね。というのも、子どものころ、補助輪付き自転車で乗れるようになった学生さんが多かったのです。自分たちが経験した方法より、今はより理にかなった方法があるということにびっくりしたようです。
なかにはキックバイクで乗れるようになったという学生さんもいました。それが良い方法だと感じてはいたけれど、子どもに教えていいものなのか自信が持てなかった。それをプロから理論面で裏付けしてもらい、背中を押してもらったわけです。とても喜んでいました。
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