教員インタビュー
人間教育学部 児童教育学科大江 篤教授
子どもに伝えたい地域の旧跡、
キラカードにしました
はい。地元には、その地区で生まれ育った人でも詳しくは知らない旧跡があるものです。そんな旧跡や人に話したくなる伝説を調べて地区の子どもたちに知ってもらい、地元に愛着を持ってもらおうと企画しました。このときは、尼崎市の杭瀬(くいせ)地区を巡るスタンプラリーでした。
8カ所のスポットを巡ってもらうため、子どもたちには巡る場所を描いた絵地図とスタンプ帳を渡しました。各スポットを訪れた子どもには、そのスポットにまつわる由来や伝説の書かれた写真付きキラカードを渡します。キラカードを8枚すべてそろえて裏向きに並べると、50~60年ほど前(1950~1968年ごろ)の地図が現れて、今の地図と見比べることができるというシカケです。
このキラカードや絵地図はゼミの学生たちが自分たちで調べて作りました。

キラカードと裏にして並べた図
例えばキラカードの一つ「浄光寺」には本尊の観音様にまつわる話があります。この観音様、所在が分からなくなることが幾度となくあったそうです。というのも浄光寺は、南北朝の時代や織田信長の時代に戦火で建物が焼失しましたし、慶長年間(1596~1615年)には何度も洪水に遭っているのです。それでも必ず見つかりお寺に戻ってきたことから、不思議な観音様として有名になりました。
「白と黒のフナ」のキラカードは、杭瀬に伝わる伝説です。昔、村人が煮付けにしようとしたフナを神崎川に逃がしたことがありました。それからというもの、川で見つかる、片側が白く片側が黒いフナは、逃がしたフナの生まれ変わりだという伝説が生まれ、今に伝わっています。
学生たちはこうした話を集めるために、大学の外に出て、資料に当たったり、地元の人に話を伺ったりしてきました。
はい。ただ、学生には「フィールドワークをやりましょう」とは、あまり言わないようにしています。フィールドワークというとつらいとか大変というイメージがありませんか?学生にとって楽しいのはカード作りであって、こちらが目的。目的は楽しい方がいいですよね。
いえ、他の学部の学生が受けられる授業もありますよ。「つながりプロジェクト 村の魅力発見!香美町小代(おじろ)の宝探し」という授業です。宿泊施設のある大学のサテライト・キャンパスが兵庫県豊岡市にあるのですが、ここを拠点に2泊3日のフィールドワークを行う授業があります。学部の制約はなく、毎年、いろいろな学部・学科の2年生が受講します。
授業の課題は、香美町小代という場所に行き、その地区の魅力を大学生の視点で再発見し、魅力を発信するプランを考えるというものです。香美町小代は「日本で最も美しい村」認定を受けた魅力的な地区で、昔ながらの棚田があったり、黒毛和牛「但馬牛」の産地であったりと、特徴のある地区ではあるのですが、過疎化は進んでいるのです。

人間教育学部 児童教育学科 大江 篤 教授
小代に暮らす方々の話を聞いたり、稲刈りを体験したり、ホームステイをさせてもらったりといったフィールドワーク的なことをします。これ、楽しそうでしょ。
その後、課題に取り組むのですが、こちらはちょっと重いかもしれません。でも学生はまじめです。温かく迎えてくれて親しくなった地元の方々のために、課題に真剣に向き合って、人を呼ぶアイデアを出してくれます。
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