叢書の表紙写真(農村舞台探訪)  農村舞台探訪


角田一郎編
 かつて集落の精神的なよりどころであり、娯楽の拠点でもあった鎮守の森は、過疎化とともに空疎な広場と化した。鎮守の社殿と並んで建っていた祭りの場のひとつに芸能舞台があった。そのなかで、近世舞台芸能の主流であった歌舞伎や人形浄瑠璃芝居を、集落の人々が神への奉仕の形て演じたのが農村歌舞枝であり、その演技の場が農村舞台であった。
 昭和42年から3年にかけては、鎮守の森の中あるいは社寺の付属地に約1200棟に及ぷ常設の舞台が遺存していた。これは、本書の執筆陣である当時の調査メンバーが、全国各地に散って踏査した結果の数字である。もちろんこれら舞台の内いくつかは、いまも歌舞伎や人形浄瑠璃を上演し続けている。
 祭りが上演の日である。その日そこを訪れた人なら、その熱気、伝承への愛着、健全な笑いや涙を忘れることはできないだろう。
 本書は、そうした感動への案内書として、生々しい体験を伝えてくれる筈である。そしてあまり一般的でない「農村歌舞伎」とか「農村舞台」が、村おこしにとって重大な意味をもつものであることを再認識させてくれるに違いない。


−目次−
・序章 農村舞台探訪−本書刊行の経緯と目的
  T農村舞台の概要
   1.舞台の種類
   2.舞台の機構
   3.舞台の分布
   4.調査の計画と準備
   5.舞台建築実測入門
  U農村舞台探訪記
   1.舞台のある村−長野県小県郡東部町祢津西町舞台を訪ねて
   2.奥会津の舞台群
   3.生きていた人形舞台
   4.バイクで走りまわった卒業論文−徳島県探訪記
   5.古文書と芝居−飛騨・久津八幡宮を訪ねて
   6.土佐の農村舞台探訪
   7.落書のあと−奥播磨の舞台をめぐって
   8.大絵馬の狂言山
   9.地芝居をつくった舞台−愛知県奥三河探訪の道
   10.舞台と共に眠る人形首の逸品−長野県伊那谷探訪記
   11.忘られゆく舞台
  V芝居と民俗
   1.鎮守様と農村舞台
   2.地芝居のたのしみ
   3.買芝居さまざま
   4.舞台の民俗学
・付 農村舞台所在地一覧表
   参考文献一覧
   おわりに
……景山正隆

……角田一郎
……名生昭雄
……景山正隆
……名生昭雄
……富山 博

……林 京平
……坂田 泉
……佐藤 彰
……河野 晃
……守屋 毅
……坂本正夫
……あんざこ・いわお
……山崎構成
……戸部銀作
……信多純一
……角田一郎

……坂田 泉
……景山正隆
……菊池 明
……宮本瑞夫


……角田一郎


定価 2500円+税/発行日 1994.4/A5判/223ページ
問い合わせ先
和泉書院

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