近松研究所(立版古Produce Group)実験劇公演 |
1996〜1997年度にかけて、初めての試みとして「近松研究所実験劇公演」を行った。
研究所の新しい方向性を探った企画であるので、その詳細を記録する。 |
[公演内容] | |
▼公演名 | 近松研究所が若い感性に贈る実験劇 |
▼招聘劇団 | 劇団榴華殿 RUKADEN(東京) |
▼上演作品 | 「REM-堕落の弁士による催眠幻術無声劇」 |
▼公演日時 | 1997年11月28日(金)17時
同 28日(土)13時・18時 同 30日(日)17時 |
▼公演場所 | 本学一谷メモリアルホール |
▼観劇料金 | 3,000円
※スペシャルメンバーシップフィーシステムにより500円に割引 |
▼制作 | 劇団榴華殿 RUKADEN
近松研究所立版古プロデュースグループ(西村、水田、時松、谷、埴淵) |
▼協力 | 本学図書館・本学エクステンションセンター・本学情報教育センター |
[公演企画書] |
▼趣意 |
開設以来9年目を迎え、近松研究所の所期の目的であった共同研究機関としての役割については、学界において相応の評価を定着させ得たものと考えるが、その一方で、研究所の仕事が、学生へ還元されていない、一般社会や若者層における認知度が低いといった批判もある。こうした批判を受け止め、学生への還元・一般社会へのアピールという2点の要求を満たす企画として、日本近代文学・演劇を専攻されている西村博子教授・研究所兼任研究員のプロデュースによる現代演劇公演を立案した。 |
▼教育・研究・広報における効果 |
1.教育効果
将来的には近松研究所が主体的に組織する「研究所芸能演劇講座」の一環としての公演鑑賞を計画中であるが、1997年度は現カリキュラムの枠内で、学生の観劇を促したい。「榴華殿」のような小演劇集団は、学生にとっての「同世代演劇」と言え、若者の抱える今日的問題をあざやかに提示する演劇のあり方が学生を刺激し、講義や演習では得られない高い教育効果が期待できる。 2.研究効果
3.広報効果
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▼展望 |
1997年度は、実験的に行う公演にとどまるが、好結果が得られれば、カリキュラムと連動させ、学生を対象とする公演講座の一環として継続して行いたい。
また、将来的には、「アジア小劇場演劇ネットワーク」の、関西における拠点として研究所が参加することも考えられる。 |
[公演制作スケジュール] |
1996年度 | 12月 | 演劇公演案・関係予算案起案 |
1月 | 会場等設備確認 | |
3月 | 演劇公演・関係予算決定 | |
1997年度 | 4月 | 第1回企画会議
施設借用手続き DM用住所録作成開始 |
6月4日 | 「榴華殿」代表川松理有氏来学、設備等打合せ | |
6月 | 公演ちらし・ポスター・チケット作成開始 | |
7月19日 | 「榴華殿」東京公演「カラスウリの咲く夜」視察
川松氏との打合せ |
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7月 | 舞台用設備手配 | |
8月12日 | 公演ちらし納品 | |
8月18日 | チケット販売開始 | |
8月 | 高校演劇大会等、ちらし配布開始 | |
9月8日 | ポスター・チケット納品 | |
9月 | プレイガイド3社発券依頼
DM発送後、FAX受付開始 劇団公演等、ちらし挟み込み開始 |
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10月2日 | 台湾より舞台セット到着 | |
10月 | 情報誌掲載依頼
新聞社訪問開始 ホームページ作成開始 |
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11月1日
〜2日 |
「けやき祭」にてチケット販売 | |
11月4日 | けやきアベニューに看板3ヶ所設置 | |
11月23日 | 「榴華殿」来学
舞台セット確認、搬入 宿舎等確認 |
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11月24日
〜26日 |
舞台設営
照明仕込み(25日) 当日プログラム作成 公演宣伝パフォーマンスをゲリラ的に学内で開催 公演関係展示作成 |
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11月27日 | 音響仕込み
公開舞台稽古 展示スペースにホームページ公開 |
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11月28日 | ゲネプロ(舞台写真撮影)
公演初日(17時) 初日祝い |
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11月29日 | 公演(13時・18時) | |
11月30日 | 公演千秋楽(17時)
打ち上げ(於チャティ) |
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12月1日 | 舞台解体、撤収 | |
12月2日 | 「榴華殿」退出 | |
12月 | 公演資料整理・まとめ | |
1月 | 公演報告書提出 |
[公演報告書] | |||||
▼入場者数 | 28日(17時) 176人
29日(13時) 166人 29日(18時) 166人 30日(17時) 208人 総計 716人 |
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※動員割合(アンケート集計結果による)
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▼アンケート結果 | ・役者さんの動きがすばらしい。本物の人形に見えてきた。
・まばたきをしない。肉体の訓練ができている。 ・幻想的で美しい舞台。我を忘れた2時間。 ・またぜひ、見に来たい。 ・ 弁士の声の凄さ。1人で語っていることを忘れて見入っていた。 (→アンケート集計結果 参照)
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▼ちらし配布数 | 38,000枚(8月18日〜11月20日)
高校演劇祭、小劇場演劇公演、西村研究員非常勤先大学、 プレイガイド、公民館、キャンパス見学会等 |
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▼DM送付数 | 1,183件
兵庫県・大阪府高校演劇部、大学、関西の劇場、劇団、マスコミ、演劇研究者等 |
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▼新聞社訪問 | 毎日・共同通信・産経・神戸・読売(10月下旬〜11月上旬) | ||||
▼取材 | 朝日新聞阪神支局 | ||||
▼公演情報掲載 | 新 聞:朝日・毎日・読売・神戸等九誌
情報誌:ぴあ・演劇ぶっく・JAMCI・オール関西 |
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▼劇評等掲載 | JAMCI33号・風速3ノット13号 | ||||
▼学生ボランティア | 16名 |
[準備風景 舞台写真] | この項目は別ページに記載しております。--->準備風景 舞台写真 |
近松研究所実験公演は、アンケート結果でも確認できるように、演劇公演を行う1つの目的であった、高校生等若者層の動員もでき、その評判もおおむね好評で、成功を収めたと考えている。
今回の制作は、平成8年12月から開始したが、これは予算計上をするためには招聘劇団選定が必要であり、また招聘劇団の公演予定は1年前には確定してしまうためである。少なくとも製作は公演の1年以上前から開始することが必要条件となる。 また、年間を通じて、主に演劇制作(公演場所選定、舞台、音響、照明等の舞台環境作り)と宣伝発券(ポスター・ちらし作成、住所録作成、DM作成、ちらし・DM配布・マスコミ廻り、観劇予約発券作業、当日案内等)に分けられる2方向の準備が必要であり、専門知識のある専任スタッフがいなければ、近松研究所の本務を遂行しながらの制作は難しい。今回の場合、9月〜12月まで演劇公演の作業にかかりきりになり、共同研究、文献目録作成等に支障をきたした。 今回の成功により、高校生、大学生をはじめとする若者層に園田学園女子大学をアピールする企画として意義ある活動であることは提示できたと考える。近松研究所の仕事としても適切な位置付けを行い、ぜひ公演活動を継続したいと考えるが、そのためには専任スタッフを含めた無理のない体制作りが必須である。 すなわち、近松研究所実験劇公演企画は、もっともふさわしい劇団の選定と十分な準備を行うため、少なくとも隔年あるいは3年に1度の実施が適当であると考えるが、今後も不定期であってもその実現に努力したい。 |
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